ぼく(語り部) ――――――――――――― ≪透明の逃亡者≫。
玖渚友(くなぎさ・とも) ―――――――― ≪青色サヴァン≫。
零崎人識(ぜろざき・ひとしき) ――――― ≪灰色のヒトデナシ≫。
哀川潤(あいかわ・じゅん) ――――――― ≪赤色の人畜有害≫。
那間那弥奈(なま・なやな) ――――――― クラスメイト。
那間七間(なま・ななま) ―――――――― 那間家長男。
那間麻那(なま・まな) ――――――――― 那間家長女。
那間菜採(なま・なな) ――――――――― 那間家二女。
那間南茉那(なま・なまな) ――――――― 那間家次男。
那間納眞弥(なま・なまや) ――――――― 那間家三男。
那間亜耶(なま・あや) ――――――――― 那間家三女。
狗良木良久(くらき・らく) ――――――― ≪黒色の陣門降り≫。
世の中には幸も不幸もない。ただ、考え方でどうにもなるのだ。
シェークスピア
ある、大きな部屋でカタカタとパソコンを打っている青色サヴァン。
その横には真っ黒の服、真っ黒の髪、真っ黒の瞳、真っ黒の眼鏡縁、黒色の陣門降り。
何やら、大変そうにしている割に会話は弾んでいる。
もちろん青色のサヴァンの手のスピードは話をしていても落ちないのだが。
「うにぃ〜。あのね、今日、いーちゃんが来るんだよ。」
「いーちゃんってあの、『戯言遣い』って呼ばれてるアレ?」
「うん!」
「へぇ〜。友っちからはいースケのことは良く聞いてるけど拝見するのは初めてだね。」
「だね☆ いーちゃんとそっくりなんだよ、良久っちは!」
「前にも聞いた。」
「うにぃ。」
あいた☆と言いながら青色のサヴァンは作業を止めない。
それを横目に黒色の陣門降りは眼鏡の縁を少し上げ、手に持っていたコーヒーを啜った。
もう片方の手には、今朝の新聞が捕まれている。
「世の中は結構、大変そうだなぁ……」
「そーだねぇ……僕様ちゃんには、あんまりっていうか全然関係ないことだけど、最近気になってるニュースがあるんだよね。」
「へぇ……友っちが気になるニュースとは珍しいね。」
「そーなんだよ!そーなんだよ! ニュースの内容はあんまり楽しい内容じゃないんだけど、楽しいんだよ!面白いんだよ!!
なんかねー、金持ちの家の主が亡くなっちゃって、その相続権が誰にいくのかって云うので揉めてる事件があったの覚えてる?」
「うん。覚えてるよ。確か、兄弟姉妹が7人居るんだったっけ……」
大きな記事ではないのだが、一面トップの横の隅に書かれてあったのは、今、青色のサヴァンが言った内容の記事。
7人兄弟なんて、今時日本では珍しい。
こういった内容のものは、嫌いではないが好んで読む気にはあまりならないようで、黒色の陣門降りは新聞を机の上に置いた。
「その兄弟の末っ子『那間那弥奈(なま なやな)』っていう男の子がいーちゃんの知り合いなんだよー。」
「へぇ〜……いースケって災難持ちなの?」
「前に言ったよ?」
「そだっけ?」
「良久っち忘れっぽいねー。いーちゃんみたい☆」
「いースケも忘れっぽいんだっけ?」
「前に言ったよ?」
「そだっけ?」
黒色の陣門降りは、ふと天井を見上げて、溜息をヒトツ吐く。
「いースケは、あと3分で来るだろうから、コーヒーを作る準備でもしようかな?」
「僕様ちゃんはミルクいっぱいー☆」
「知ってる。」
青色サヴァンに微笑みを向けて台所に姿を隠した。
もう直ぐ逢える
三人目の類。三人目の友。
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第1章|